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年功賃金制と同一労働同一賃金制

新しい労働社会―雇用システムの再構築へ (岩波新書)」オススメです、と言う話。

日本の労働問題の論点を整理したいなら、これは必読です。
当の僕はまだ理解度が浅く、「何がいいか」を整然と説明できないというジレンマ。

内容と関係がない(いや、あるのか)ところでいくと、特筆すべきは論理的であること。
労働問題って、結構感情論、イメージ、印象が先行していることが多いんですよね。
特に最近話題の「派遣」とか、「貧困」とか、「過労死」とか、そういう観点で話を進めると。

ところが、「派遣」を例にとって見ても、これ自体は多様な雇用形態の一つであって、
なにが問題なのかをきちんと整理せずに下手に規制なんかかけてしまうと、
余計なとばっちりを受ける人が続々出てきてしまいそうで怖い。

新しい労働社会―雇用システムの再構築へ (岩波新書)」で語られる内容は理路整然としています。
表現の問題なのか、「欧州いいよ、欧州」と言っているだけと読める気もしなくもないですが、
それを差し引いても日本の労働に関わる問題の「何が根っこなのか」を、
歴史的背景や判例も踏まえつつとても丁寧に紐解こうとしている態度、尊敬します。

とはいえ前提知識というかリテラシーもある程度求められます。
僕もこれまでに「貧困」の側面から雇用の問題を説明する本を幾つか読んでいたので、
この本で語られているキーワードを少しでも見知った状態であったことがプラスとなりました。
(たとえば、「反貧困―「すべり台社会」からの脱出 (岩波新書)」とか)

あと、実際にサラリーマンとして働いているということも理解への助けとなっていたでしょうね。
仕事で関わっている分野も社員の勤怠に関わるシステムだし。
学生の頃に読んでいたら、きっとちんぷんかんぷんだったに違いありません。

表題の件につきまして


就職活動をしていた当時は、いわゆる「大企業」に安易に入社することを否定し、
「会社の安定よりも個人の安定」を声高に叫んでいたものでした。
その流れで、自然と「年功賃金」は僕の批判の対象となっていました。
「職能給にNO!、職務給にYES!!」と何となく思っていました。

ところが、僕はその根拠がさっぱり分かっていなかったのです。
そして、なぜこれまで日本企業は「年功賃金制」をとっていたのかも。
まさに、"感情先行"でした。

この本を読んだことで、大分整理ができたように思います。
「給料」のお金は、誰にとっても身近で切実であるはず。
どれだけ理解できているかの確認のためにも、この記事に僕なりにまとめたいと思います。
※「新しい労働社会―雇用システムの再構築へ (岩波新書)」の内容に100%追いついている保障はできません。

年をとればとるほどお金がいる理由


年をとればとるほどお金がいる理由をまずは考えてみます。
軸を"今"にするかどうかでちょっと変わってきますが、
あえて曖昧なままにしてみます。

(1)結婚による家族、子どもの養育費、教育費の負担のため
家計を支える。一人身ではありえなかった支出。
統計的には20代後半から30歳当たりが初婚の平均年齢です。
子どもの養育費も、年齢が上がるにつれて負担が大きくなっていきます。

(2)老後の貯蓄のため
年をとればとるほど、という観点からはちょっとずれますが、
老後、働けなくなるタイミングに備えてお金は貯めておきたいところです。

(3)社会通念的価値観のため
身も蓋もないですが、社会通念的に年をとればとるほど生活レベルは上がるべきだ、
という考え方はなんとなく日本社会に染み渡っているような感じがします。


あれ、これくらい・・・か・・・。

→(1)については「子ども手当て」なんてのもあり、
少子化の流れもあって補助金が出る場合が多いですよね。
日本の社会保障はなくはないですが、まだ手薄みたいですね。
OECD諸国と比較すると、「家族関連社会支出の対GDP比の割合」では
OECD26ヶ国中23位!という結果。
26ヶ国平均が「2.0%」に対し、日本はわずか「0.6%」。
ちなみにトップのスウェーデンとデンマークは「3.8%」。
(出典:子どもの最貧国・日本 (光文社新書)
※OECD(2004) "Social Expenditure Database"


→(2)老後といえば年金。高齢者に対する医療費も結構な額です。
手厚いですよね。たぶん。

→(3)これは保障の対象じゃないしなー。

「生活給」という保障


(1)の手薄感はそもそも企業が補っていたところがあります。
新しい労働社会―雇用システムの再構築へ (岩波新書)」の第3章が詳しいですね。
年齢が上昇し、家族を扶養するにつれて賃金があがるという「生活給」の考え方。
これを前提として、企業のみならず、日本社会が設計されていきます。
そこに、「同一労働同一賃金」が入り込む余地は、他ならぬ労働者側の要請で失われていきました。

※「同一労働同一賃金」っていうのは平たく言うと
同じ仕事なら、老若男女問わず、雇用の形態すら問わず、誰もが同じ賃金を得るべきということ。

「年功賃金」に誰もが乗っかれた時代は社会保障が手薄でもそこまで問題にならなかった。
会社が退職まで面倒を見てくれるのが当たり前。もちろん、「正社員」限定で。

ところが非正規雇用の比率がぐっと上がってくると、「生活給」の恩恵にあずかれない人が出てくる。
社会保障は手薄だし、非正規は「年功」になっていないし、
"正社員に比べれば"明らかに雇用形態として不安定な状態です。

「育児」「家族」「教育」「住宅」、はては「老後」(退職金)まで・・・。
様々な面で社員の生活・暮らしを支えてきたのは、企業でした。

雇用形態によるあからさまな格差のある日本においても、
「日本も欧州のように同一労働同一賃金を推し進めるべきだ」という意見が出てきていますが、
これを議題にするときには同時に「社会保障をどうするべきか」を考えなければなりません。

いや、むしろ現時点で「年功賃金制」が成り立たなくなってるのですから、
「同一労働同一賃金」という話をする前に、「社会保障」をまず議論する必要があります。
要は、誰であっても最低限の生活を担保できる社会になっていないのが現状ですから。

この問題に対しての僕のアプローチを考える


制度自体の問題はありつつも、その設計を組みなおしていくのは骨が折れることですし、
制度設計を考えられるほど、僕はこの分野に精通していません。

そんな僕がこれから何を学んでいくべきかを最後にまとめたいと思います。

・秋田の現状を知る
僕の軸になるのは結局「秋田」ですから、やはり秋田の現状を知る必要があります。
これは勝手なイメージですが、地方に行くほど中小企業の割合が大きくなりそうです。
また、若者の就職率も低いのではないでしょうか。
大卒者は恐らく少なく、核家族の比率も都市部よりはぐっと落ちるでしょう。
これらは大体がイメージですが、これらのイメージと実際のところをすり合わせ、
「で、結局秋田の雇用の問題は何なの?」というところをもう少し整理するのが筋でしょう。

・「社会保障」に関する知見を広める
正直、日本では今どのような社会保障があり、どれが実際の運用上でよく利用され、
国家予算規模でどこにお金がかかっていて、どこが足りていないかを見つめる必要があります。
これは単に日本だけに留まらず、欧州等諸外国の事例を参考にしていくことも求められるでしょう。

・法制度自体を学び、理解する
これは上に近いですが、現状の法制度を整理して覚えることも必要になるかもしれません。
もう少し実運用に近い「社労士」とか、興味あります。

・教育という切り口からこの問題を解決する手段を考える
今の「キャリア教育」は、労働の"問題"を真っ向から捉えているものはほとんどありません。
「目標を持て」が前面に出すぎてしまい、かえって浮ついたものになっている印象があります。
本田由紀氏の著書にもある、「抵抗」の部分が抜け落ちている、という状況です。
日本社会における労働者の権利や社会保障制度の存在を、僕自身もきちんと把握できていません。
雇用の形態や状態に応じてどのようなセーフティネットがあり、どんな欠陥があるのか。
それらをきちんと整理しつつ、どう教育に生かすかを考えるのは有意義であると思われます。

とりあえず関連の書籍は引き続き読んでいかないとな。
最近は「貧困」問題にフォーカスしたものが多くて。
記事内でも幾つかご紹介しているので、ご興味がある方はぜひ。
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テーマ : 教育問題について考える
ジャンル : 学校・教育

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カミオーカー

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秋田で幸せな暮らしを考える

秋田県出身海士町在住。
2009年春に某IT企業で
新社会人としてデビュー。
2010年10月末から
海士町でいろいろ勉強中。
2011年度からの
身の振り方を考えながら。

WE LOVE AKITA
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農業稲門会
酒屋の息子

Twitter:@kamioka

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